サイバー・エンジニアリングの位置づけ~生産システムの立ち上げ

ここでご紹介するサイバー・エンジニアリングは、モノづくりの上流を担う様々な企画・計画業務の段階から量産までの活動を対象とします。
モノづくりでは、技術開発や市場の動向、顧客の期待や要求等に対応して製品やデリバリ体制を構築するわけですが、量産に至るまでの活動は市場の変動に対してフレキシブルかつ、クイックに対応することが求められています。エンジニアリングの領域でサイバー化を通じてエンジニアリング業務の変革をが求められていますが、ここでは量産を行う「生産システム」をより良いものとする活動に焦点をおいています。

 

 

「設計的アプローチ」による変化能力の獲得と価値創造

激動の時代では、未来は過去の延長線上にはありません。「あるべき姿」を希求する行動を継続して、「攻めるレジリエンス」を実現することを目指したいと考えています。攻めるレジリアンスにおいては、未来は未確定で動く、それに対応するアプローチがポイントですから、進むべき方向をデザインする手法を考えてみましょう。

問題対応の方法として分析的アプローチ(カイゼン手法)は広く行き渡っていますが、この考え方はマイナスを減らす、問題を減らすという活動です。未来が見えている時代、変化がない環境で有効です。日本のモノづくりが力を発揮してきたのは、目標が動かなかったという背景にありました。

一方、未来が変化するという時代においては、設計的アプローチ、つまり、あるべき姿を状況に応じてデザインし、プラスを追求していく考え方が有効です。また、あるべき姿とその期待値が見えるとそれへ向けて行動を促す力になり、これが人々にモチベーションを与えることなります。

 

 

バーチャルを活用した設計的アプローチを推進

このような設計的アプローチ、システムデザイン指向の考え方を効果的に活用するためには、バーチャル空間上でこれらの活動を運用できるようにすることです。具体的には、生産シミュレーションを活用して実質的な生産活動を計算機上で行うとともに、

・試行の探索的な繰り返し(イテレーション)

・自らの理解と説明能力

・多様な視点を総合した意思決定

のような活動を実現することが設計的アプローチを実現するうえで有効です。

サイバー空間で造り上げた生産システムを理想的にブラッシュアップし、それをフィジカルとして造り上げる考え方が、市場変化への対応能力を獲得すべき今日のエンジニアリングにおいて求められています。

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