グローバル時代/激変の時代ではサイバー・レイヤーでのエンジニアリングがキーポイントとなります。従来のエンジニアリングはフィジカル・レイヤー、すなわち、現場や個別ツールで造りこんできたわけですが、ここではヒトの経験値やエフォートで対応してきました。しかし、これらの活動は部分最適に留まるとともに、エキスパートの経験値に依存してきました。
これらからのモノづくりでは、サステナビリティをかくとくするため、広範な視点で全体最適を進めていく必要があるとともに、経営環境の変動に対応してクイックに生産システムを変更し続ける必要があります。そのためには、エンジニアリング活動をサイバー・レイヤーで行い、さらには異種の活動を接続することによって全体最適を進めることが肝要です。前後工程の同期やサプライチェーンの最適化など、変動する経営環境に対応して生産システムを進化させていくエンジニアリング活動が求められています。
ここまでご紹介してきました我々が狙う異種接続モデルを、インダストリ5.0 や Gaia-X の等のアーキテクチャにおいて、表現してみると、下図のように示すことができます。
RAMI4.0で著されるアセットレイヤーから上位の機能レイヤーやビジネスレイヤにサイバー化すると、それぞれのレイヤーにおける意味的な関係で相互接続が可能になります。つまり、各レイヤにおけるコンテキストにおいて、ある目的に沿ったKPIを算定することができるようになりますから、その観点で評価を行い、相互関係に基づいて最適設計をおこなうことができるようになります。
具体的には、異種の設備が設置してある生産ラインにおいて、ある製品を製造するプロセスに対してそれぞれの設備が果たす役割やパフォーマンスを算出することができます。これを他の製品に対しても同等のKPIを算出し、当該生産ラインにおける総合的なビジネス能力を導出し、最適化することができるようになります。これを個別に算出することなく、アーキテクチャとして汎化したうえで、造りこむことなく、多くの事例で運用できるようにすることに意義があります。
今後のデジタル・モノづくりにおいて、これらの接続技術が勝負になると考えられており、今後の重要な技術と位置付けられます。
サイバー・レイヤーで異種を接続するためには、同一のデータ・フレームで接続することが理想的です。当社では、生産シミュレーションによる関係性評価を行うために、生産シミュレーションのデータモデルとして利用することができて、異種の要素を統合するデータモデルを開発しました。これにより、サイバー・レイヤーでの相互接続運用を実現します。
ここまでご紹介しましたアプローチを通じて、我々はあるべき姿を求めるシステムの開発を行っています。アーキテクチャだけでは最適化を果たすことはできません。それを運用するエンジニアの能力を最大化することが重要であると考えています。
例えば、「気づきのイネーブラ」として、仮説検証を通じてエンジニアに構想力を与えることや根拠を持って説明することを通じて、組織としての実行力を与えることを狙ってます。これを支援する仕組みとして、バーチャル空間で多様な仮想検証を行うシミュレーションエンジン、また、リーン生産にもとづく問題解決手法をメソッド化して、共通利用可能なプラットフォーム上に構築することです。つまり、進むべき方向をデザインし、行動を促すための知を創発するシステムの開発に挑戦しています。